デジタルをアナログの質感で
既製品の7セグメントディスプレイは便利ですが、プラスチックの筐体がインテリアとしての「味」を削いでしまうことがあります。今回は、電球のフィラメントのような温かい光を放つ「棒状LED(フィラメントLED)」を採用し、基板を用いない空中配線でカレンダーを作りました。

電子管で同様の表示ができるニキシー管だと高圧回路が必要で回路設計が大変なうえ、基本的にロシアや旧ソ連製のものしか流通しておらず入手困難です(特に自分の気に入った形のものを探すのは至難の業)。
フィラメントLEDならはんだ付けが難しいだけ(試行錯誤してたら1日かかっただけ)で作れます。
ガラスドームの中に浮かぶ数字は、まるでニキシー管のようなレトロフューチャーな雰囲気を醸し出します。回路設計からフィラメントLEDの注意点も紹介していきます。
使用部品と回路構成
主要パーツ

- 棒状フィラメントLED:14本(2桁分)
- 制御マイコン:RP2040(Raspberry Pi Pico等)picマイコンでも自作可能だが試作機なのでラズパイを利用しました。
- 抵抗:100Ω × 14個
- 筐体:ガラスドーム、六角形のベース(100均のキャニスターなどを加工して作成)、ユニバーサル基板(土台用)
(使った部品の詳細一覧は、記事最下部に配置してあります。ニキシー管風ボタンからジャンプ可能です)
電圧と電流の計算
フィラメントLEDの多くは、順方向電圧(\(V_f\))が 2.6V 〜 3.0V 程度です。
(砲弾型の通常LEDは色にもよりますが。2.0V~3.2Vとかのレンジなのでほぼ同じです。)

電子工作をしている方なら耳タコかもしれませんが、一応計算を載せています。
今回はピン出力 3.3V に対して 100Ω の抵抗を直列に繋いでいます。
- 計算式: \(I = (V_{cc} – V_f) / R\)
- 実測値: \(I = (3.3V – 2.8V) / 100\Omega = 5mA\)
1セグメントあたり約5mAと、マイコンのGPIOから直接ドライブするのに最適な電流値です。また、この電流値に抑えることで、眩しすぎずフィラメントの形状が綺麗に見える「エモい」輝きになります。
3. 【最重要】フィラメントLEDの極性
ここが今回の製作で最も注意すべき点です。
通常の砲弾型LEDなどの電子部品には「長い足がアノード(プラス)」という共通認識がありますが、このフィラメントLEDはその常識が通用しませんでした。
フィラメントLEDの型によるかもしれませんが、私が購入したフィラメントLEDは極性が以下の様になっていました。
極性の見分け方
- 長い方の端子:カソード(陰極・マイナス)
- 短い方の端子:アノード(陽極・プラス)
- 物理的特徴:アノード(プラス)側の根本には、小さな穴が開いています。

空中配線は一度はんだ付けしてしまうと、修正が非常に困難です。組み始める前に、必ずテスターや電池で1本ずつ点灯確認を行うことを強く推奨します。
4. 「物理実装」のポイント
空中配線のコツ
フィラメントLEDは熱に弱いため、素早くはんだ付けを行うのがコツです。まず、カソード(マイナス側)を共通のフレームとして組み上げ、表示部分を作っていくと、楽でした。


はんだ付け途中の画像
抵抗のレイアウト
今回は抵抗を隠すのではなく、あえてユニバーサル基板上に整然と並べるデザインにしました。14個の100Ω抵抗が並ぶ様子は、回路の「密度感」を演出し、精密機器のような美しさを与えてくれます。
発熱もこの程度5mA程度なら問題ありません。
5. カレンダーのプログラム
今回は「日付」を表示する試作機として、以下のようなロジックを実装しています。
- PC接続時の自動校正:USB接続時にシリアル通信等でPC時刻を取得し、時刻を同期。
- フラッシュメモリへの保存:RP2040のファイルシステムを利用し、定期的(1時間ごと等)に現在の日付を書き込み。
- 再起動時の復帰:非接続時に起動した際は、最後に保存されたテキストファイルを参照して初期化。
詳細なコード解説や、日付更新のアラート処理については、次回の「ソフトウェア編」で詳しくご紹介します。
6. 完成品と結びに


ハードウェアが完成し、ガラスドームを被せた瞬間の「命が吹き込まれた感」は格別です。お手持ちのマイコンに合わせて、ぜひこの「光る造形物」に挑戦してみてください。
使った部品や道具一覧
使った部品の一覧です。適宜選定基準もちょこっとメモしてあります。
フィラメントLED 30個
18.5mmフィラメントLED 30個あるので4桁作れます。暖かめの色は、売れ切れがちです。
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スズメッキ線 0.6mm
耐食性がよく、はんだ付けしやすい、ちょっと値が張る。
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使いやすいはんだ
初心者向けに使いやすいはんだを選びました。
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0.54mm 軟銅線
住友電気工業のはんだ付けしやすい電線
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100Ω抵抗
LEDとIC保護用抵抗
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おすすめの基板サイズ 小さくしたいときには 5cm × 5cm、少し余裕を持たせたいときは 5cm × 7cm が扱いやすくておすすめです。
ユニバーサル基板 5cm×5cm
安価すぎるやつは、ランド(はんだ付けする銅の薄膜. スルーホールパッド)が剥がれやすいのでそれなりのものを購入することを推奨します。
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ユニバーサル基板 5cm×7cm
安価すぎるやつは、ランド(はんだ付けする銅の薄膜. スルーホールパッド)が剥がれやすいのでそれなりのものを購入することを推奨します。
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使った道具(おすすめ)
電子工作向けの標準的な道具でも事足りますが、作業中の「ちょっとしたやりづらさ」を解消してくれるのが、丸ペンチと片刃ニッパーです。
リード線の美しいカーブ作りや、ギリギリの場所でのフラットな切断など、「あと一歩」の手が届くようになる感覚があります。
ストレスなく作業を進めたい方は、揃えておいて損はないアイテムです。
丸ペンチ
先が丸く、電線を傷めずに丸めたり傷を不必要につけないペンチ
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片刃ニッパー
ENGINEER エンジニア マイクロニッパー
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オマケ:いい感じのレトロ7セグを見つけました
記事を書くにあたり調べてみてていたら、こんなものを見つけました、このサイズは手動はんだ付けは現実的でないので、小さいアナログ風ディジタルディスプレイが欲しい場合、既製品を買った方が良いかもしれません。ロシア製(ソ連製)の輸入品(ニキシー管も同様)なので入手が困難になるかも。
赤色 7セグメント LED ディスプレイ
型番:HP 5082 - 7441,サイズ(mm): 外形:50.8 x 18.3 x 6.2
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
では、次の記事で。 lumenHero